心房細動について知ろう

心房細動(しんぼうさいどう)は、心臓のリズムが不規則になり、脈が速くなったり、不規則になったりする不整脈の一種です。症状が軽い場合もありますが、放置すると脳梗塞や心不全のリスクが高まるため、早期の診断と適切な治療が重要です。本記事では、心房細動の基礎知識、初期症状やリスク、検査方法、治療の選択肢について詳しく解説します。

1. 心房細動とはなにか?

 

<心房細動とは?>

 

心臓は通常、規則正しく拍動し、血液を全身に送り出すポンプの役割を果たしていますが、心房細動は心房が異常な電気信号を発生し、不規則で速い拍動を繰り返すため、心臓の動きが不安定になる病気です。

● 心房細動の主な原因

・高血圧
心房に負担がかかり、不整脈を引き起こす。
・心疾患
冠動脈疾患、弁膜症、心不全などによる心房の異常
・加齢
心房の線維化が進み、電気信号が乱れやすくなる。  
・甲状腺機能亢進症
ホルモンの影響で心拍が異常に速くなる。
・睡眠時無呼吸症候群
低酸素状態が心房を刺激し、不整脈を誘発する。
・アルコール・喫煙・ストレス
交感神経が過剰に刺激され、心拍が不安定になる。

● 心房細動の種類

心房細動は持続時間によって、以下のように分類されます。
・発作性心房細動
数秒〜数日で自然に収まる。発作的に起こるが、繰り返すことがある。
・持続性心房細動
1週間以上続くが、薬や電気ショックのなどの治療で元に戻る。
・慢性(永続性)心房細動
治療しても正常なリズムに戻らず、心房細動のまま過ごす。

心房細動は高血圧や心疾患などによって引き起こされますが、症状や持続時間に応じた分類と治療の選択が重要です。

<心房細動の初期症状とリスク>

 

心房細動の初期症状は個人差があり、動悸や息切れ、めまいなどが現れる場合もあれば、まったく初期症状がないこともあります。

● 主な初期症状

心房細動の症状は人によって異なり、自覚症状がない場合もあれば、動悸や息切れを強く感じる場合もあります。
・動悸(どうき)
脈が急に乱れたり、ドキドキする感じがする。
・息切れ
軽い運動でも息苦しくなる。
・めまい、ふらつき
脳への血流が不安定になり、立ちくらみが起こる。
・疲れやすい
血液が十分に循環せず、だるさを感じる。
・胸の違和感
胸の締めつけや不快感がある。

● 心房細動が引き起こすリスク

心房細動は放置すると、以下のような重大な合併症を引き起こす可能性があります。
・脳梗塞
心房の中にできた血栓が脳の血管に詰まり、脳梗塞を引き起こす。
・心不全
心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送れなくなる。
・突然死
稀に、心房細動がより重篤な不整脈に移行し、致命的な状態を引き起こすことがある。

症状が軽度でも重い合併症につながることがあるため、早めに気づき、医療機関を受診しましょう。特に脳梗塞のリスクには十分な注意が必要です。

心房細動の治療について

 

<検査と専門診断>

 

心房細動が疑われる場合は、心電図や心エコーなどの検査を通じて、心臓の動きや電気信号の状態を正確に把握します。

・心電図(ECG)
心臓の電気的な活動を記録し、リズムの乱れを確認する。
・ホルター心電図
24時間装着して、不整脈の発生状況を詳しく調べる。
・心エコー(超音波検査)
心臓の形や動きを観察し、血栓の有無を確認する。
・血液検査
甲状腺機能や電解質の異常がないかをチェックする。

これらの検査によって心臓の状態を詳しく確認することで、個々の症状や合併症のリスクに応じた治療を行うことが可能です。

<治療の選択肢>

 

心房細動の治療は、薬物療法に加え、根治を目指すカテーテルアブレーションなどがあります。治療は、症状の重さや合併症のリスクに応じて選択されます。

● 薬物療法

・抗不整脈薬
心臓のリズムを安定させる(例:アミオダロン、ビソプロロール)。
・抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)
血栓予防(ワルファリン、DOACなど)
・β遮断薬
心拍数を抑える(メトプロロール、カルベジロール)。

● カテーテルアブレーション(根治療法)

・カテーテル(細い管)を心臓に挿入し、不整脈の原因となる異常な電気信号を遮断する治療法
・若年者や薬で効果が得られない患者さまに推奨される。

● 生活習慣の改善

・塩分・脂肪の摂取を控え、野菜中心のバランスの良い食事を心がける。
・適度な運動(ウォーキングなど)を継続し、心血管の健康を維持する。
・ストレスを避け、規則正しい生活を送る(睡眠不足や過労を防ぐ)。

適切な治療を継続することで、合併症を防ぎながら安定した生活を送ることができます。治療とともに、食事や運動など生活習慣の見直しを行うことも再発予防には欠かせません。

まとめ

  • 心房細動は、心房が不規則に震えて脈が乱れ、血栓ができやすくなる不整脈で、発作性・持続性・慢性の3種類に分類されます。
  • 動悸・息切れ・めまいなどの症状を引き起こし、放置すると脳梗塞・心不全・突然死のリスクが高まるため、早期診断と治療が重要です。
  • 診断には、心電図やホルター心電図で不整脈を確認し、心エコーや血液検査で原因や血栓の有無を調べることが重要です。
  • 治療は、薬物療法やカテーテルアブレーションがあり、再発予防には食事・運動・ストレス管理など生活習慣の改善も重要です。

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